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<Happiness of Father’s Day>

 日羽さんのサイト 「光道」 から
5000HITフリーお礼文小説(ミュータントタートルズ)をテイクアウトいたしました。









その人の姿は時々、向こうが透けていたのだけれど。
 不思議と恐ろしい感じはしなかったので、四人はすぐにその人が好きになった。


<Happiness of Father’s Day>



「良いか、息子たちよ。ワシは少し出掛けて来るが、決して外に出てはならんぞ」
「「「「はーい!」」」」

 元気の良い子供たちの返事に頷いて、スプリンターは駆け寄って来たレオナルドの頭を撫でた。

「夜には戻る。レオナルド、留守を頼むぞ」
「はい、先生!」

 小さな包みを携え家を出て行く父の背中を見えなくなるまで見送って、レオナルドは弟たちを振り返る。
ドナテロはソファで本を読んでいるし、ラファエロは大好きなテレビ番組を見ている。ミケランジェロは床に這いつくばってお絵描き中。
 よし、と頷いて、レオナルドは自主練習に戻った。



「あーあ、つまんねー!」

 伸びをしながら言ったラファエロの言葉に、兄弟たちが何事かと顔を上げる。
欠伸をするラファエロと擦れ違いながらレオナルドが卓上のリモコンを手に取った。
ブチンと音がしてニュースを読み上げるキャスターの姿が消える。

「ラフ、見終わったんならちゃんと電源切れよ」

「うるせーな。いい子ちゃんぶりやがって」

 大仰に腕を振りながら悪態を付くラファエロの足がクレヨンの箱を蹴っ飛ばしたので、ミケランジェロが不満気な声を出した。

「何すんだよう!」

 部屋の入り口に向かって歩いて行くのを目で追って、本に栞を挟みつつドナテロが訊ねる。

「どこ行くの?」
「外」
「待てよ、外に出るなってスプリンター先生が言っただろう?」
「バレやしねぇよ、どっかのお利口ちゃんがチクったりしなけりゃな」
「ラフ!」

 家を出て行くラファエロの後を追って、レオナルドも駆けて行く。取り残された二人は
ちょっと顔を見合わせてからレオナルドに続いた。開け放された扉から覗くと、梯子に
手を掛けたラファエロと彼を何とか止めようとしているレオナルドが見える。
 レオナルドがラファエロの肩を掴んで引き止めるが、逆に突き飛ばされてバランスを崩した。
ふらりとよろけて、下水から突き出ているガラスビンの破片の上に倒れ込む。

「わっ……!」
「「「レオ!!!」」」

 咄嗟の事に、四人は恐怖でぎゅっと目を閉じ身を固くした。
 だが、いつまで経っても何の痛みも無ければ物音すらも聞こえて来ない。  恐る恐る目を開けかけたその時、
「こらこら。乱暴はいけないぞ」
「!?」

 父親以外で初めて聞く大人の声に驚いて、四人は一斉に眼を開く。
 そこにいたのがレオナルドをその腕に抱いた人間だと気付き、僅かに身構える三人。
だが、人間の顔を間近で見上げる事となったレオナルドだけは、自分を優しく抱える腕の暖かさに緊張を解いた。
それは人間の髪の毛と同じくらい墨のように黒い双眸が、どこかスプリンターに似ていたからかも知れなかった。
 呆然と自分を見上げる子供に優しく笑い掛けて、人間はレオナルドをそっと地面に降ろした。
途端に弟たちが弾かれたように駆け寄って来る。

「うわぁんレオぉ!!」
「レオ平気!? 大丈夫!?」
「ごめんレオ、ごめんな!!」

 今にも泣きそうな弟たちに揉みくちゃにされるレオナルド。その様子を微笑ましげに見詰めて、人間が訊ねる。

「どこも痛くはないか?」
「あ…………はい、あ、ありがと……ござい、ます」

 人間はレオナルドの返事に笑って頷いて、大きな手で四人の頭を順番に撫でた。

「もうおうちに帰りなさい。今日は偶々私がいたから良かったけれど、スプリンターがいない時に外に出てはいけないよ。
何かあっても誰も君たちを助けてあげられない」

 その言葉に四人は思わず顔を見合わせる。
 先生は人間に姿を見られてはいけないと言ったけれど、この人間は自分達を見てもちっとも驚かない。
それどころか先生の名前も知っている。

「おじさん、誰? 先生を知ってるの?」
「ひょっとしてスプリンター先生のお友達?」
「……ああ、そんなところかな」
「じゃあ、おじさんも忍者なの?」


 もしやと思って聞いてみる。
 目の前にしゃがんでいる人間の服装はどことなく先生の着ているものに似ていたし、おまけに背中に刀を二振り背負っている。
 いつも話に聞く忍者のイメージとそっくりだった。
 期待を込めた目で見詰められて、彼は苦笑しながら僅かに頷く。

「すごーい! 人間にも忍者っているんだね!」
「馬鹿だなマイキー、普通忍者は人間なんだぜ?」
「そうさ、僕たちの方が特別なんだよ」
「えぇ、そうなのー?」

 見当違いに感心しているミケランジェロに訂正を加えるラファエロとドナテロ。
 わいわいと騒ぎ出した弟たちを尻目に、レオナルドは尊敬の眼差しで父親の友人を眺めた。先程レオナルドを助けた技は、スプリンターと同じくらい凄いものだ。
 このまま別れるのが惜しくて、レオナルドはおずおずと口を開く。

「あの、おじさん。もし良かったら、うちに来ませんか? 先生は夜には帰るって言ってましたし、きっとおじさんに
会いたいと思うから……」
「私が、君たちのうちに?」
「は、はい。ご迷惑じゃなければ。おじさんも、先生に会いに来てくれたんでしょ?」

 慣れない言葉遣いで必死に言葉を紡ぐレオナルド。そんな兄を後押しするように、弟たちがわっと彼の周りを取り囲んだ。

「そうだよ、折角来てくれたんだから上がってってよ!」
「レオを助けてくれたお礼もしなきゃな」
「おじさん、おなかすいてない? オイラのピザ分けたげる!」
「こらこら、君たち……」

 餌に群がる子猫のように纏わり付いてくる幼子たちを困ったように――しかしとてもいとおしげに見詰めて、彼は僅かに
肩の力を抜いた。
 先程から己の身体はまるで切れ掛けた電球が明滅するように、透けたり戻ったりを繰り返していたのだが、この小さな
亀たちは全く気にしていないようだった。

「だめ……です、か?」

 それに何より。
 腕に触れる、もう感じる筈の無かった
掌の温かさが、酷く離れがたかった。




「ふう……やれやれ、やっと眠ったか」

 たくさん遊んで、たくさん食べて、たくさん笑って。
 時計の針が六時を過ぎる頃には、子供たちはソファの上でぐっすり眠っていた。
 風邪を引かないよう、ベッドから持って来た上掛けをそっと四人に掛けてやる。
「毎日この調子じゃ、スプリンターも大変だなぁ……」

 結局子育てなどした事も無い我が身を省みて、苦笑いを零す。寝返りを打って飛び出てしまった腕を戻してやろうとして伸ばした手が、ホログラムに触れたようにするりと擦り抜けた。思わず引き戻した自分の手を見詰めて、もう一度
苦笑する。

「……もう潮時か」

 一目顔を見られればそれでいいと思っていたのに、つい長居をしてしまった。  そっと立ち上がり、寝息を立てている四人に微笑む。

「レオナルド、ドナテロ、ラファエロ、ミケランジェロ。いつまでも兄弟仲良くな。それから……」
「……………………ヨシ、先生…………!?」

 どさりと物が落ちる音と、驚愕に震える声に、戸口の方を振り返る。  そこには海老茶の着物を着た灰色の。

「……スプリンター」

 懐かしい名を呼べば、見開かれた瞳に大粒の涙が溢れた。

「おお、まさか、まさか……本当に、ヨシ先生……!!」

 ふらふらと、覚束ない足取りで歩み寄るスプリンター。その足に巻かれた包帯を痛々しげに見て、それでも大事な言葉を言う為に笑顔を作る。

「――優勝おめでとう、スプリンター。お前は、私の誇りだ」

 そうして彼の指先が届く前に、ゆっくりと手を合わせた。



「……先生? おかえりなさい……」
「あれ、僕たち、何してたんだっけ……」
「さぁ……」
「何か夢見てたような気がするー……」

 誰ともなしに目を覚ました子供たちは、突然父親に抱き締められて目を白黒させる。

「わぁ!」
「先生、痛いよう」
「先生?」
「先生……どうして泣いてるの?」
「何でもない……息子たちよ。何でもないんじゃ」

 初めて見る、声を震わせて泣く父の姿に、息子たちはどうしたらいいかわからなくて、 互いに顔を見合わせるしかなかった。



END




ひさしぶりの更新です。

数ヶ月ぶりに更新……


 新たなカテゴリーに、もらい物追加。
(「サボテン狂奏曲」の管理人すばる様から頂きました武者烈伝小説をUP。)

「賜りし絆へ」

 SDガンダム系二次創作ブログサイト「サボテン狂想曲」の
管理人・すばる様から烈伝小説を一本頂きました。
(突発企画のリクエスト小説でした。)


すばる様、ありがとうございました。


タイトル
部類
内容
「賜りし絆へ」
武者烈伝
  武者烈伝の最終話から数年後の 
  竜神導師仁宇&霧丸親子の物語…… 


「賜りし絆へ」


***

『―――かつて、光と闇の大戦があった。
平和だった天宮に突如侵攻を開始した邪悪武者軍団は、
圧倒的戦力で次々と天宮各地を占領し、最後まで抵抗を続ける武者軍団も
その戦力差に敗北し壊滅した。
 これにより天宮は長きに渡る暗黒時代へと突入する。
しかし戦力を回復させた武者軍団は再び結成され邪悪武者軍団に
反撃を開始する。その中でも光の七人衆の子供たちが中心に
結成された列火隊の活躍は目覚しいものがあり、揃いし武化無可を
発動させ、敵総大将を討ち果たす事に成功する。
これにより、暗黒時代は過ぎ去り天宮は再び平和を取り戻した。
しかしその後光の七人衆の一人である天翔狩人摩亜屈の突然の裏切り、
さらに烈火隊の隊員たちが突如行方不明になるなど、
天宮にはさらなる暗雲が押し寄せていたのである―――』


「・・・・・・」
仁宇は先程まで書いていた原稿を掴み、最初の一行から最後まで
読みながら「う――む・・・」などと一人唸っていた。
現在彼がいる部屋は彼が治める山里「羅々亜の里」にある自分の
屋敷内の書斎部屋である。
仁宇専用の書斎部屋は大量の本や巻物が保管されていて、
仁宇が仕事をこなすために広い机も置かれている。普段は使用人が
綺麗に掃除して塵一つ無い部屋なのだが、今日は朝から仁宇が
書斎に篭り切り失敗した原稿を丸めては
無造作に畳の上に捨てていた。
そのため、今は足の踏み場も無い程部屋が散らかっている始末だった。

仁宇はしばらく原稿と睨み合いをしていたが、やがて疲れたように
溜息を一つ吐く。そしておもむろに持っていた原稿を机の上に放り投げると
そのまま仰向けにごろんと倒れた。

「・・・あ―――、この先何を書けばいいのかさっぱり思い浮かばん・・・
参ったな・・・」
ごろりと畳の上に大の字で寝転がりながら、ぼやく。
朝から正座して原稿を執筆していたせいで腰も痛いし手も痛い。
もうこれ以上書けそうになかった。若い頃は腰痛など無縁だったというのに。
「あれから数年経つか。早いものだな・・・私もいい加減いい年だ」
そう言って仁宇は苦笑する。寝転がりながら染みのある天井を眺めて、
ふと仁宇は今この羅々亜の里にはいない、一人息子の霧丸のことを思い出していた。

「そういえば霧丸は元気でやっているだろうか?」
ぽつりと仁宇は呟いた。無論答える者など一人もいない。
が、それでもなんとなく口にしてしまうのだから不思議だ。
霧丸は現在、仁宇の元を離れ烈火隊のメンバーと共に再建された新頑駄無城で
天宮を支えるためお城勤めをしている。
光の七人衆は天宮の未来を子供たちに託し、ある者は隠居し
またある者はそのまま城に残り若者たちを指導していた。
そして仁宇は羅々亜の里へ帰り隠居する道を選んだ。
霧丸や他の者から城に残らないかと説得されたが、「これからの未来は
自分のような大人ではなく未来を担う若者がやるべきだ」と
主張して光の七人衆を引退し、後世に戦いを伝えるため
これまでの戦いの記録をまとめる作業に取り掛かり現在の状況に至る。
それ以来、霧丸とは一年の内に盆か正月に時々帰ってくるぐらいで、
数年前よりも会うことが断然少なくなっていた。
律儀な息子は手紙を毎回必ず寄越してくるが、その内容は
やたら丁寧な季節の挨拶から始まり、「最近の様子はどうですか」とか
また「私のいる天宮は随分復興が進んできて、今はすっかり賑やかな町になりました」など、
天宮の近況や父親である仁宇の様子を気遣う文面がほとんどだった。
仁宇としても遠く離れた場所で天宮のために頑張っている息子からの手紙は嬉しい。
昔のようにいつまでも子供ではないが、成長してもやはり親にとっては
いつまで経っても可愛い子供なのである。

特に七人衆の中でも仁宇の親馬鹿ぶり(摩亜屈談)は相当なもので、
息子は法術士として武者として、立派に一人立ちを果たしたのだと
親として誇りに感じつつも、やはり心の片隅で生じてしまう
小さな寂しさはどうしようも無い。

(そういえば、昔はまだあどけない子供だったあの子が無邪気に廊下を走る音が
煩いほど屋敷中に響き渡っていたな。あまりに煩いから思わず拳骨を
食らわせたら大声で泣き出したことがあったな。
・・・ああ、習いたての法術をむやみに使って屋敷の壁を壊したこともあった。
とにかく昔は煩かった)
養子を迎えてからの毎日は、とにかく毎日が戦のように煩かった。
最初はなかなか懐かなかった霧丸を養父として愛情を注ぎながら厳しく接した。
正直子供を持つことに最初は不安さえ感じていたが、
いつのまにかそんな日常が当たり前になっていた。

慣れていたのだ。こんな日々がいつまでも続くのだと。
だが
時は移りゆくもの。
永遠などありえない。
(いつかはこんな日が来るとわかっていたはずではないか。
今更この年で、―――寂しいのか私は・・・?)
何故今日に限って柄にもなく感傷に浸るのか。
恐らく昨日届いた霧丸の手紙が原因なのだと仁宇は自覚する。
せざるを得ない。仁宇は顔を横にして、近くにある手紙を手に取り広げた。
最初はやはり季節の挨拶から始まって、最近の様子などを書いている。
一字一句詠み続け、最後の行を読み始めてからやはり最初に読んだ時のような
落胆の表情を抑えきれなくなった。

『・・・最後に、申し訳ありませんが今年のお盆にはお城勤めが忙しく帰れそうにありません。
ですが正月には必ず帰ります。それまで、どうかお体にお気をつけてお過ごしください。

霧丸』

「・・・帰れない、か」
手紙を読み終えた仁宇は昨日と同じ言葉を繰り返した。
まだ皐月に入ったばかりだが、滅多に帰ってこないからこそ毎年お盆は
楽しみにしていたものだった。
――しかし今年は例年よりも忙しい年らしくまだ先の盆ですら帰れないという。
がっかりしたと言えばそうだが、息子も頑張っているのだと思えば
それぐらいどうという事はない。第一そこまで会いたいなら自分から会いに
行けばいいものなのだが、
隠居した身分で今更尋ねてもやることはないだろうし、たぶん霧丸も
迷惑するだろう。
・・・それに何より気恥ずかしいし照れ臭い。
そんな妙な意地が仁宇の中で鬱屈した気分を生み出す原因になっている。
無論本人にその自覚は無いが。

追記を表示

新年あけましておめでとうございます。

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 かなり一足遅れてしまいましたが皆さん、
新年あけましておめでとうござ います。
今年も当ブログ・水竜島をよろしくお願いします。



〜〜〜更新情報〜〜


 貰い物展示場( リンクの一覧にあります。)に蒼洞図書館様 から頂いた
期間限定フリーイラストをUPしました。
(本文の上に添えて あるイラストです。)

テンプレートのデザインを変更しました。

 昨日、テンプレートのデザインをクリスマス仕様に変更しました。
本文に添えてあるアイコンはSWEET RABBIT様からテイクアウトいたしました。


(それにしても最近、このブログ全然更新してません。
こまめに更新しなくては意味無いなと思った今日このごろです。(汗))。



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Extra

プロフィール

  • Author:水竜 魚月(すいりゅう なつき)
  • 1978年11月20日生まれ
    干支:午
    星座:蠍座
    九気星:四緑木星
    六星占術:火星人(+)
    中国九龍占術:風龍
    趣味:読書(小説・漫画
    ・実用書・雑誌等)
    ・インターネット・園芸・料理
    ・手芸

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